温泉と肌の評価法

角層*1や皮脂*2に着目して温泉の肌への影響を調べることで、肌への有用性を研究することができます。角層細胞のはがれ具合と形や大きさを観察すると、肌のうるおい力と保護力がわかります。健やかな角層状態は肌のうるおい力と保護力が高く、乱れている角層状態は肌のうるおい力と保護力が低くなります。また、酸化した皮脂、汚れた皮脂など不要な皮脂が、肌の上に存在すると肌トラブルの原因となるため、不要な皮脂は適切に取り除く必要があります。

*1皮膚の最外層に位置し、表皮角化細胞が角化した扁平な角層細胞が重なった層。
*2皮脂は、皮脂腺から分泌され大部分がトリグリセリド、ワックスエステル、スクアレンから構成される。

健やかな角層状態

健やかな角層状態

乱れている角層状態

健やかな角層状態

不要な皮脂がない状態

不要な皮脂がない状態

不要な皮脂がある状態

不要な皮脂がある状態

採水と温泉成分分析について

実際の採水時の様子をご紹介します。研究のこだわりである実際に宿の浴槽に注がれる温泉水を評価していることがお分かりいただけると思います。 採水された温泉水は、1つは温泉成分分析のため島根県環境保健公社へ、もう1つは研究員の多田の元へ即日送られました。
加田温泉 採水

加田温泉 採水

さぎの湯温泉 採水

さぎの湯温泉 採水

角層に及ぼす影響

温泉が角層に及ぼす影響について

1. 41℃に設定した温泉または精製水に、21mmろ紙を浸漬させて41℃に保つ。
2. 前腕外側に、無塗布部位、温泉部位、精製水部位を設定し、温泉部位と精製水部位に、温泉または精製水を浸漬させたろ紙を置き、温泉または精製水が肌を浸している状態を10分間保つ。
3. 10分後、ろ紙を取り、水滴を取り除きテープで角層を採取。
4. 採取した角層細胞を、染色剤としてゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンを用い染色し、顕微鏡にて観察。
温泉と美肌の関係

温泉が皮脂に及ぼす影響について

1.21mmろ紙に人工皮脂を滴下し、風乾。(人工皮脂:50%オレイン酸 in エタノール溶液)
2.41℃に設定した温泉または精製水に人工皮脂が付着したろ紙を浸漬させ、41℃で16~18時間静置。
3.浸漬後、風乾してから、0.1%オイルレッド in エタノール溶液に5秒間浸漬させて染色。
4.その後、精製水に5分間浸漬させて洗浄。風乾後、顕微鏡にて観察。
関連性のある温泉成分
特徴的な画像
角層剥がれ具合
ごわつき・くすみ

関連性のある温泉成分

カルシウムイオン
ストロンチウムイオン
塩化物イオン
臭化物イオン
硫酸イオン
メタけい酸
非解離成分

精製水

精製水(亀嵩温泉)

亀嵩温泉 玉峰山荘

亀嵩温泉水
角層細胞形態
バリア・しぼみ

関連性のある温泉成分

温泉に含まれている全ての成分について現在研究中

精製水

精製水(湯之助の宿長楽園)

湯之助の宿長楽園

湯之助の宿長楽園
うるおい力
乾燥チクチク

関連性のある温泉成分

カルシウムイオン
マンガンイオン
カリウムイオン

精製水

精製水(加田温泉)

加田温泉
飯南町健康増進施設 加田の湯

加田温泉
人工皮脂除去力
べたつき・毛穴

関連性のある温泉成分

メタ亜ひ酸
マンガンイオン
鉄イオン
硫酸イオン
炭酸水素イオン
チオ硫酸イオン

精製水

精製水(加田温泉)

加田温泉
飯南町健康増進施設 加田の湯

加田温泉